2013年12月2日月曜日

読書メモ

「昭和映画史ノート〜娯楽映画と戦争の影」内藤誠(平凡社新書098)


埋もれた映画史を掘り起こせ!「大東亜戦争」下に数年間だけ存在した日本映画学校と
は何だったのか。戦前、一世を風靡した幻の「大都映画」と「昭和の鳥人スター」ハヤ
フサヒデトの伝説とは?占領下、溝口健二が撮った「女性解放映画」を問い、石原裕次
郎主演作品の企画者タアキイの仕事を浮かび上がらせる。
娯楽映画を愛する人々へ贈る
映像文化史入門・昭和篇

内藤誠
1936年愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。映画監督、中部大学人文学部教授
。映画監督作品に、「番格ロック」、「時の娘」、「俗物図鑑」、「スタア」など。主
な著書に、「ヘボン博士のカクテル・パーティ」(講談社)、「映画百年の事件簿」(
角川文庫)、「シネマと銃口と怪人」(平凡社)など。訳書に、W・サローヤン「ママ
・アイラブユー」(共訳、新潮社)などがある。

はじめに
第1章 「大東亜戦争」下の映画少年たち
戦時下に創設された「日本映画学校」とは/目をみはる豪華なカリキュラム/クリスチャ
ンの家庭が生んだ映画人/映画カメラマン碧川道夫/戦時下の映画をめぐる状況/日本映
画学校の日常/映像文化史上の光
資料1 インタビュー・養成所の教えてくれたこと 福沢康道
日本映画撮影技術者養成所に入るまで/日本映画撮影技術者養成所の生徒たち/授業につ
いて/戦争と生徒たち/講師の人たち
資料2 インタビュー・日本映画学校の青春 川又昂
映画へのあこがれ/日本映画学校へ入学/日本映画学校のこと/松竹映画へ
第2章 幻の大都映画とハヤフサヒデト伝説
大都映画を熱く回想する錚々たるファン/大都の前身、河合映画社/古海卓二監督の活躍
と離脱/傾向映画もあれば猛獣映画もあり/大都映画撮影所/昭和の鳥人スター/ハヤフサ
ヒデトの軌跡/活劇王の後半生
第3章 占領下の溝口映画
敗戦直後のアイデア・ピクチャー/原節子主演の二つの映画−「決戦の大空へ」と「麗
人」/戦後の溝口の出発/溝口の「女性解放映画」/「女性の勝利」への厳しい評価/「女
優須磨子の恋」は興行的には成功したが……/女性解放の先駆者・福田英子の伝記映画/
「我が恋は燃えぬ」の虚実/自由民権、男女平等のストーリーの裏側/田中絹代が演じる
英子/溝口における政治と性/溝口の苦闘の意味
第4章 「昭和モダン」としてのタアキイ企画
「モダン」な空気に魅かれて/「水の江滝子」について頭に入れておくべきこと/すべて
は「太陽の季節」に始まる/「狂った果実」の新鮮さ/「太陽族」の反響/「嵐を呼ぶ男
」で頂点に達した石原裕次郎人気/「俺は待ってるぜ」とタルコフスキーの「殺人者」/
タアキイ企画と外国ネタ/水の江・藤原・山田トリオによる「銀座の恋の物語」/モダン
なライフスタイルと愛の映画
あとがき

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